東京高等裁判所 昭和28年(う)126号 判決
被告人 大石忠八
〔抄 録〕
第二点。
本件の如き起訴前の被疑者の勾留については被疑者に対し被疑事実を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければこれをすることができないこと並びに本件記録上はこの事実を知ることができないことはいずれも所論のとおりである。しかし起訴前又は第一囘の公判期日前の勾留に関する処分についての書類を公訴裁判所に提出すべき旨の規定は存しないから裁判所は提出された勾留状の要件が具備されておる以上その発付手続が適法に履践されたものと認めるのを相当とする。而して本件勾留状を見ると法定の要件を具備するものと認められるからその発付手続は適法に履践されたものと云はねばならぬ。従つて本件記録に所論勾留についての手続履践に関する書面の編綴がないことを以つて本件公判手続を全部無効なりとする所論は容認しえない。論旨は理由がない。